「僕が行きます!」重機にとどまらず、船の作動油クリーニング依頼に飛んで行った話。

クレーンの作動油クリーニング、エアーエレメントの洗浄・交換・レンタルなど、クレーンや重機のメンテナンスを全国対応している建機サービス、社長の尾形です。

え? 知っているって? 私の知名度も少しずつ上がってきてますね(笑)。

さて、今回は少しレアな案件のお話をします。それは……船の作動油クリーニングの話です!

私、尾形は日本列島の端から端まで、陸続きで仕事があるところには(=困っている人がいるところには)どこにでも行きますが、時には海にまで進出しちゃうんだよ、という話です。

クレーン車ではなく、船ですよ、船! 普段とは違う仕事をして、私も学ぶところがたくさんありました! その全貌をぜひ聞いてください!

【船の作動油クリーニング事例】「僕が行きますよ!」船の作動油クリーニングに自ら手を挙げた。

インタビュアー
建機サービスといえばクレーン車の「作動油クリーニング」ってイメージがあるのですが、なんと船の作動油までクリーニングしちゃってるんですね! 多角経営! 尾形社長ってばやり手ですね!
尾形
いやいやいや、冗談はやめてよ。「困っている人がいたらなんとかしたい!」って一心でやっているから、経営云々じゃないんだよ!
インタビュアー
わかってますってば(笑)。で、どのような経緯で船の作動油のクリーニングをすることになったのですか?
尾形
端的にいうと、ある船会社が所有している船の動力源に使われている作動油に海水が入ってしまって、対応できる業者がいなくて困っていたんだよね。

船の作動油を扱える業者は実際に少ないから、自分も同業者に問い合わせたりしたんだけど、見事に全然いない。船会社としては一刻も早くなんとかしたいから、それはもう必死になって探していて……そんな状況を目の当たりにしたらやるしかないでしょ。

こちらにできることがあれば、やってあげないわけにはいかないから「僕が行きますよ!」って手を挙げました。

インタビュアー
うわ、すごい! それは英断ですね。
尾形
まぁ、確かに勇気のいる決断ではありましたが、私たちの技術とノウハウがあれが何とかなると思っていました。

船の状態について詳しく聞くと、その船は決して大きな船ではなく、タンクの容量は800リットルでそれが4つ積んである。

そこに海水が入ってしまったということなのだけど、今ある作動油を全部捨てて新油を入れるとなると、膨大なお金がかかってしまう。だから、混入した水だけを除去したいというわけです。

なかなかの骨折り作業だけど、資源を使い捨てにしないことはいいことだよね。

インタビュアー
使えるものは長く使う……建機サービスの理念と一致してますね!

【船の作動油クリーニング事例】一日でも早く船のコンディションを改善することが求められた。

インタビュアー
その船は、どのような用途の船だったのですか?
尾形
なんと調査船でした。
火山の噴火があると、「新しい島ができました」みたいなニュースが流れたりするじゃないですか。そういう地学的なことを調査する船らしく、乗船するのも大学教授や自治体の偉い人だそう。

インタビュアー
おお、何だかちゃんとしてそう。
尾形
そう。なにしろ調査は公共事業だから、スケジュールがガチガチに決まっているの。 公共事業は年間で予定が組まれているから、「船の調子が悪くて出港できません」ってなると、ものすごい違約金が発生してしまうので、なんとしてもそのような事態は避けたいってことで、早くなんとかしたかったらしいんだよね。
インタビュアー
なるほど、それは本当に緊急事態ですね。
尾形
違約金もそうだけど、船の内部に海水が入ってしまうと一気に錆びるから、物理的にダメージが大きいんだよ。

特に舵きりのシャフトを支える鉄が錆びてしまうと、船をバラして修理しないといけなくなる。船をバラすには、ドッグに入って何日もかけてやるわけだから、停泊料だけでも相当な出費になるよね。

だから、いろんな意味で早く何とかする必要があったってこと。

インタビュアー
その状況を聞くと、確かに何とかしてあげたいって思いますよね。

【船の作動油クリーニング事例】目では確認できができない部分は検査キットを用いて正確な判断をする。

インタビュアー
実際にどのような作業をしたのですか?
尾形
朝早くから作業できるように前泊して朝イチで現場に入って、タンクだけではなく配管にまで入ってしまった海水を時間をかけて抜いていきました。

調査船なので、大きさとしてはそれほどではないかな。船の中は狭く階段も急なので、いつも使っている大型の機械ではなく小さいローラーの小型タイプの機械を2台持ち込んでクリーニングをしました。

尾形
最初の1時間半で半分くらいはきれいになったのだけど、タンクだけではなく配管にも海水が入ってしまっているから、検査をしてもまだ数値が下がらない。

タンクをきれいにしても配管に残っていた水が戻ってきてしまうので、2回、3回とやって最終的には4回目でタンクも配管もようやくきれいになりました。

どれくらい水が残っているのかは見た目だと分からないので、持ち込んだ検査キットで数値できちんと確認をしましたよ。

尾形
時間にして6時間半くらいかかったかな。余裕を持って7時半から船に入ってたから、気持ち的に落ち着いて作業ができました。

もしこれをクリーニングではなく、新油に入れ替えってなっていたらすごいことだったよね。使用する新油の総量も費用も膨大になりますから。

インタビュアー
それは大変な作業でしたね!でも、最終的にきれいになってよかったです。

今回の船で起こったことは、クレーンでも同じことが起きている。

インタビュアー
今回、水が入ってしまった原因はどのようなところにあったのでしょうか?
尾形
海水が入った原因は、おそらく人的ミスではないかって言っていました。開いてはいけないバイブを開いたとか、そういうことなんじゃないかな。

もともと船って浸水に対して厳重にできていて、外から水が入ったとしても内部で何重にも仕切られているから、よほどじゃないとタンクにまでは水が行かないようになっているんだよね。

だから、タンクに水が入っちゃったってことは、自然に起きたことではないと思うんだ。

インタビュアー
なるほど。船の内部に水が入るって、実は意外とレアケースなんですね。
クレーン車にも水が入る問題はよくありますよね。あれはどのようにして入ってしまうのですか?
尾形
いろいろな原因があるけれど、よくあるのはクレーン車を駐車場に駐車しているときのブームの角度が原因ってことが結構あるかな。

どういうことかというと、クレーン車は駐車場に帰ってくると場所を取らないようにブームを上にあげているんだけど、このことによりシリンダーが上を向いてしまうので、雨や雪が車体に入りやすくなってしまう。

尾形
それで、雨や雪は水分なので油分よりも物質に浸透しやすいから、クレーン車内部の細かいところにまで水分が入ってきてサビを起こしてしまうんだ。

他にも、クレーン車を屋外保管していて水が入ることがあるよ。

さっきも言ったけれど、クレーン車は駐車場スペースを有効活用するためにブームを上げて、さらに盗難防止のためにアウトリガーを出して保管しているんだよね。

でもこの状態、つまりブームをあげているということは作動油が回ってタンク内の作動油が減っている状態になっている。

それはタンク内部に空間ができているということなので、朝晩の寒暖差などでタンク内の空間に水滴がついてしまうんだ。

こんなふうに、船みたいに水に浸かっているわけではないけれど、クレーン車に水が入ることはあるんだよ。

インタビュアー
機械にとって水はサビの原因になりますから、取り返しのつかないことになる前になんとかしないとですね。
尾形
本当にそうなんだよ。
水が入るとサビもあるけれど、その前に作動油が白濁してくるからやっぱりこまめに点検&メンテナンスをして、いつもベストな状態を保つことが大事だよね。

故障しちゃったら修理代もかかるけれど、クレーン車が稼働できる日数が減るから二重に損失だよね。

最近も東北のお客さんで、クレーン車に水が入ってしまったという相談を受けて行ったのだけど、きれいにするために丸2日間かけて4回エレメント交換をしましたよ。

インタビュアー
日頃からのお手入れ、大事ですね。オペレーターにとってもクレーン車の調子が悪いとストレスだと思うので、良い仕事をするためにも定期的なメンテナンスは必須ですね!

重機に関わらず困っている方がいれば、どこへでも飛んで行く!

インタビュアー
尾形社長は、いつも走り回っているイメージがあります(笑)。「え、今はそんなところにいるの?」って感じに、関東近郊だけではなく地方にもちょくちょく行っていますよね。
尾形
やっぱりそう思います? これは業界の課題でもあるんだけど、今はとにかく人材不足で、クレーンに困りごとがあったときに、すぐに対応できる業者が本当に少ないんだ。

それに、クレーンに不具合があって業者に連絡を取るときって、大抵作業終わりだから夕方になるんだよね。

現場を終えて18時頃に会社に戻り車両の点検をしていたら、何かしらの故障を発見。気が付いて電話をしても、修理工場の営業時間を過ぎていて、先方と連絡がつかない……ってなってしまうんだ。

いわゆる「働き方改革」によって、受付業務が時間短縮されていたり、週休2日徹底していたりと、人材不足以外の要因もあって、業者を見つけるのは一苦労になっているんだよ。

だから、自分が走り回ってるわけです(笑)。

インタビュアー
尾形社長が100人いればいいですね! さらに、今回のように船の作動油クリーニングまでやってしまうという。大丈夫なんですか?
尾形
仕事があるかぎり、やるしかないよね。

船の作動油まわりのトラブルに対応できる業者は、建機のメンテナンス業者よりもさらに少ないと思うから、それこそ深刻な状況だと思います。

今回建機サービスとして船の作動油クリーニングをしましたが、基本的なタンクの内部構造やクリーニングするときの工程などはクレーン車と通じるところがあるので、これからも困りごとがあれば積極的に受けていこうと思っています。

その地方ごとにポンプ業車など連携できる業者はあると思うので、関係構築をしてタッグを組んでやっていきたいですね。

建機サービスはクレーン車だけではなく、船の作動油のクリーニングも対応しているので、日本全国どこからでもお気軽にご相談ください!

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