事業承継!クレーン業界のレジェンドはどのようにバトンタッチしたのか?〜小川建機の探訪記録vol.2
クレーンの作動油クリーニング、エアーエレメントの洗浄・交換・レンタルなど、クレーンや重機のメンテナンスを全国対応している建機サービス、尾形です。
さて、またまた訪ねてきました、小川建機社。
私が心から敬愛するレジェンド、小川会長に会いに!!
これまで足繁く通ったおかげで、小川会長もすっかりリラックス。いい雰囲気なので、今回は核心に迫る質問をしてしまいました!それは……事業承継の問題です!
実は小川建機も数年前に事業承継をしたばかり。今、レジェンド小川会長は一線を退いて、会社の経営は息子さんにバトンタッチされました。
とはいえ、多くの建設企業、クレーン会社でもなかなか事業承継が進んでおらず社会問題となっています。
誰もが気になるその辺り…突撃インタビューさせていただきました。
事業承継の秘訣は、「次の世代がおもしろおかしくやれる会社をいかに作るか」
小川建機は事業承継の成功例だと思うのですが、代替わりするときに気を付けたことや心がけたことなどありますか?詳しく聞かせてください!
心がけたことは、自分がいるうちに、「次の世代がおもしろおかしくやれる会社をいかに作るか」ですね。当然ですよ。つまらないものを引き継いでもモチベーション上がらないからね。引き継いで気持ちが盛り上がる会社じゃないと嬉しくないでしょ。
引き継いだからにはあれこれ言わない。任せるだけの信頼関係を築いておく。
だから、私も息子にあれこれ言わないようにしています。いい大人になって、親からあれこれ言われるのも嫌だと思いますしね。
でも、こっちから何も言わなくなったら、あっちからいろいろと話してくれるようになりました。面白いですよね。また、本人に任せるようになってからは社長としての責任感が増したような感じがしますね。実際に
前年度の売り上げは過去最高だったみたいで、調子良さそうですよ。
小川建機の場合は、息子が社長をやっているけれど、役員はほとんど他人。身内はほとんどいません。それがいいんじゃないかな。意外と他人の方が信頼できたりするものです。
一歩引いて、会社を俯瞰できるのはいいことですよ。そうすることによって会社の問題点がわかったりしますからね。
現役の頃はいっぱいいっぱいで、毎日神経をすり減らしていましたが、今は自分の責任がないから気が楽です。
あえて、事業承継を人前で大々的にやる。そうすることで生まれる自覚と責任。
最近、女房がやけに優しいんですよ。なんでこんなに優しいのかなって思うくらい(笑)。
本人には面と向かって言えないけどね。照れちゃう。
でも、そういう盛大なお披露目を自分達でやったというのは意味があると思いますよ。取引先や協力業者の前で、「これからはこのメンバーでやっていきます」って宣言するわけですから、身が引き締まりますよね。「これからは自分達がやっていくんだ!」という自覚と責任を感じるのではないでしょうか。
自分が社長だった時は、他社とのお付き合いと言ってもほとんどがライバル関係でしたから、“面”として関係が広がっていくという感じではありませんでしたね。
でも、今の若い世代は柔軟ですよね。昔の関係などお構いなしに平気で繋がってっちゃいますから。ライバル会社っていう意識も、今の人達は持ってないんじゃないかな。
多角経営することで広がる可能性
運輸機工としての形になってきたのかなと思います。
ここまで会社が成長できたのは、地の利があったからではないでしょうか。ここが埼玉の田舎だったので、土地だけはあったのですよ。
また、近隣には採石場やセメント工場が多かったのもよかったです。物資を運ぶのにクレーンが必要ですからね。
これが一般的な建築であれば100tのクレーンで十分ですが、プラントや橋梁になってくると規模が違いますからね。500t、700tというクラスが必要ですし、そのクレーンを運ぶための大きなトレーラーも必要になってきます。要は、ここには需要があったということです。
実は今の社長には、小川建機の運送部門を担う「小川トランスポート」という会社を24歳の時からやらせているのですよ。
ですから、今回の事業承継は全くの経営の素人に引き継いだわけではなく、既に社長としての経験があってのことだったんです。
しかし、事業承継ではグループ全体としての社長を「まとめて全部やれ」って引き継いだので、今までのようにはいかないんじゃないかな。彼にとっても試練だと思いますよ。
業務のIT化は課題。時流に乗って取り入れる柔軟さを持つこと
親から見たら、子供はいつまでも子供ですが、やらせてみないと成長しないですからね。
いろいろと言いたくなりますけど、言ってもしょうがないですからね。しかし、自分の母親は103歳まで生きましたが、70歳の自分の息子に対していつまでも子供扱いしていましたよ(笑)。
今は業務の中でITを使いこなしている会社と使えていない会社、差が大きくなる一方ですよね。その辺は我々世代が苦手な部分なので、もう完全に委ねていますよ。
クレーン業界は弱い? 弱さゆえの戦略とは
しかし、トラックはそうではないですよね。トラックは前日に積まないといけないので、ある程度の計画は必要です。クレーンほど手軽ではない。ですから、もし最初に何か車両を買って商売を始めるのなら、トラックがいいと思いますよ。クレーンは初期費用も維持費も高いですし、何しろお金がかかりすぎますから(笑)。
しかも、彼女たちは手業で仕事していますから仕入れもない。最高の商売だなって思いますよ。例えお客様が来なくても、仕入れがないので損失にはならない。こちらとは大違いですよ。こちらは仕入れも設備投資もしているので、やめるにやめれないんですよ。
とにかく自分が楽しんで、そしておもしろおかしい会社にしてバトンタッチするのがいいのでしょうね。それが事業承継の秘訣ですかね。なんだかんだ言って、仕事が入りさえすれば面白い仕事だと思っていますよ。
私が社長の時は、自らが走り回って営業活動をして仕事をもらっていました。自分の足で営業して、客層増やして、少しずつですよ。
実際にクレーンを商売にするって大変なことなので、何年か前に社員に「みんなは運送屋をやった方がいい」と言って独立を促したことがあります。
しかし、結局やったのは1人でしたね。みなさんクレーンが好きなんでしょうかね。
小川会長から見たクレーンの魅力とは?
クレーンから派生させて、商売を広げていけることでしょうかね。
まず、「重いものを運びたい」という需要を起点として考えると、
そのためにはクレーンとトラックが必要になりますよね。この時点で運送業もやれるってことですよ。
クレーンとトラックさえあれば、鉄骨やコンクリートも運べますし、せっかくだから工事までこちらでやってしまうという選択肢もあります。そうなると、工事部門も展開できますよね。
クレーンも小さなもので始めるのではなく、ある程度のトン数で大きく始めた方が仕事も広がります。小川建機も大きなクレーンをたくさん保有しているおかげで、風力発電のタービンを運んだり橋梁の資材を運んだりと、ダイナミックな仕事に携わることができているのです。
人が自分の力ではやれないようなことをやれるのがクレーン業界の魅力ではないでしょうか。
新社長の体制で、ますますの発展を期待しています。
今日はありがとうございました!
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