作動油の継ぎ足しはOK?白濁の原因を解説!【作動油洗浄の事例】

作動油白濁の原因を解説

クレーン車や重機の作動油クリーニング、エアーエレメントの洗浄・交換・レンタルなど、

メンテナンスを全国対応している建機サービスの代表、尾形です。

日本のインフラを支えてくださっている土建業の方々を建設機械の売買やメンテナンス事業を通じてサポートしたい!と私、尾形が日々熱く、この業界の必要性とメンテナンスについて正しい情報を伝え歩いているわけですが、今回は作動油クリーニングの事例をいくつかご紹介します。

▽動画で見たい方はこちら!▽

作動油に関してはこれまで

・継ぎ足し(簡単だが汚れは減らない)

・交換(キレイになるが高価)

という選択肢しかほとんどありませんでしたが、私たちがご提案しているのは濾過をすることでの作動油の寿命を延長させるクリーニングサービスです。

掛かる時間と料金は、2〜3時間ほど、なんと3万円〜!

作動油は年月の経過とともに確実に劣化します。

「まだクレーンは動いているから大丈夫でしょ」と思っていても、Xデーはある日突然やってきます。

クレーンオペレーターの方々は、なにかしら予兆も感じ取れるかと思いますが、クレーン車の故障や不具合が起こる前に作動油クリーニング。これは新常識となりつつあります!

作動油の継ぎ足しはOK?白濁の原因を解説!
【事例1】稼働率が低いクレーン車の作動油ってどうなの?劣化速度は?

作動油白濁の原因とは

「毎日乗っているクレーン車だから、いつもベストな状態に保ちたい!」

そう思っているオペレーターの方々がほとんどだと思います。

毎日乗っていれば作動油の劣化も加速し、できればメーカー推奨の2年に1度は交換したいところです。(それがなかなかできないというお話をよく伺っています…)

しかし一方で、あまり稼働していないクレーン車の場合はどうなのでしょうか。

先日ご依頼いただいたクレーン車は、新車として購入してから6年経過していました。6年間の稼働時間合計は2000時間とのこと。

これは極めて少ない時間です。

ほとんど乗っていない状態と言ってもいいかもしれません。6年間何もメンテナンスをしていないとのことでしたが、私たちとしても日頃稼働させていないクレーン車の作動油が、一体どれくらい劣化しているのか気になるところでした。

さっそく、サンプリングして調査したところ……

なんと!水分が多く含まれているではありませんか!

作動油に水分が含まれていたケース
作動油に水が溜まる理由

ほとんど乗っていないクレーン車であるにもかかわらず、このようなことになってしまったのはなぜでしょう。私たちは現地調査と入念なヒアリングをして原因を探ったところ、どうやらクレーン車の保管状態に原因があったことがわかりました。

そのお客さまの会社では、クレーン車を屋外保管していました。クレーン車のブームは上に上がった状態で、アウトリガーは出していました。

多くのクレーン会社でこのような方法で保管するのには理由があり、ブームを上げるのは当然駐車場スペースを有効活用するため、そしてアウトリガーを出すのは盗難防止のためです。

しかしこの状態、おわかりかと思いますが、ブームをあげているということは作動油が回ってタンク内の作動油が減っている状態。

タンク内部に空間ができ、朝晩の寒暖差などでタンク内の空間に水滴がつきます。これが作動油に混じってしまうのです。

この時の作動油は濾過クリーニングをして、すっかり水分が取り除かれ、元の透明度を取り戻すことができました。

ちなみに別件で屋内保管をしている会社のクレーン車を調べたところ、どの重機も作動油はきれいなままで、水分もほとんど入っていませんでした。

各社状況が異なりますので、どのような場合でも、定期的な作動油のメンテナンスは推奨いたします!

作動油の継ぎ足しはOK?白濁の原因を解説!
【事例2】タンク容量が50L!交換ではなくあえてクリーニングというエコな発想

ミニショベルの作動油クリーニング

ちょっといい話、資源への考え方の話です。

先日作動油のクリーニングをご依頼いただいたお客様が保有していた重機は、タンク容量が50Lほどのミニショベルでした。タンクの口も小さく、弊社が使用しているクリーナーではホースサイズが合わないので、容量が小さいタンクに対応できるクリーナーを新たに弊社で購入して対応しました。通常は毎分9Lほど濾過できるのですが、今回は毎分2Lです。作動油の量は50Lなので短時間でクリーニングが終了しました。

50Lの作動油のクリーニングというのは、量が量だけに実は交換しても金額がさほど変わらないのです。そのことを事前にお客様にお伝えしたのですが、交換ではなくクリーニングを強く希望されました。限りある資源を大切に使いたいからとのことです。

この考えに私たちは深く共感し、ご希望通りにクリーニング対応をさせていただきました。大量消費・大量廃棄が問題となっている建設業ですが、このように身近にエコを実践しているお客様がいることを嬉しく感じ、同時に身が引き締まる思いをしました。

作動油の継ぎ足しはOK?白濁の原因を解説!
【事例3】見事に白濁していた作動油がクリーニングで透明に!

作動油白濁のクリーニング事例

こちらは遠方のお客さまの事例です。なんと福島県からご依頼をくだいました!

建機サービスはじわじわとですが口コミが広がっている手応えがあります。評判が評判を呼んで、いつの間にか全国区展開!嬉しい限りです!

(車で行ける場所であれば、全国どこへでも作動油クリーナーを詰んで伺っています!)

福島県のお客さまからのご依頼は、コンマ4〜5のユンボの作動油クリーニングでした。

コンマ4〜5は大体12tクラスです。

さて、タンクを開けてみたら、残念ながら見事に白濁していました。

水分の含有量の数値があまりにも高いので、クリーニングにも気合が入ります。2台のクリーナーと6つのエレメントを使用して、フル装備でのクリーニングとなりました。

2〜3時間後には、見事に透明に!

クリーニング前の汚染度を示す数値が100ml中に固形物(ゴミ、水分)2,475,550個だったのに対し、クリーニング後は100ml中442個にまで激減!驚異的な結果です!

今回は濾過クリーニングでしたが、粘度や添加剤の量も相当減っていると思われるので、今回は一定量の新油を追加したものの、社長には近い将来、作動油の交換もおすすめしました。このように数値としてゴミ(不純物)の量が減っているのがわかると説得力があります。

作動油の継ぎ足しはOK?白濁の原因を解説!
【番外編1】廃油を捨てるのは意外と大変?!

クレーンや重機の廃油の処理

弊社に作動油クリーニングをご依頼されるお客様には、大型クレーン車のような容量の多いタンクから小型のユニック車のような小さなタンクまでさまざまです。先述した50Lのタンクのお客様もそうですが、容量の少ない作動油クリーニングのご依頼は意外と多いのです。

その理由としては、廃油を捨てる費用と手間を考えると、クリーニングで延命させたほうが良いということ。例えば、ご自身で作動油を購入して交換する場合、古くなった作動油(廃油)を処分しなければなりません。

作動油はガソリンやエンジンオイルとは違うので、専門業者に依頼して指定工場で処分することになりますが、これが意外と高額です。たかだか数十リットルのために業者を呼び、安くない金額を払い、工場で処分してもらう……考えただけで手間ですよね。

そこでクリーニングという選択をするわけです。理由はともあれ、作動油の廃棄を選ばずクリーニングで少しでも長持ちさせるという発想はSDGsの観点からもよいのではないでしょうか。

【番外編2】強度増し増し!グラスファイバー入りのオイルエレメント

最近は作動油クリーニング以外にも、オイルエレメントの販売も行い、作動油クリーニング時にエレメントの交換も推奨しております。

弊社ではエアーエレメント洗浄・交換も重要なサービスの一つですが、実はオイルエレメントも年々進化しており、より強度を持たせるためにグラスファイバー入りのオイルエレメントが登場しているのです!

言うまでもなく、オイルエレメントは消耗品なので、時期がきたら交換が望ましいのですが、最近はメーカーがSDGsの観点から交換のサイクルを長くして、廃棄を減らす方向性になってきているのだそうです。

オイルエレメントの寿命は一般的に数百時間とされていますが、グラスファイバー入りのものは、その倍は持つそうです。さらに、オイルエレメントに限らず、作動油も長持ちさせる方向性で改良が進んでいるとのこと。

【番外編3】結局、どれくらいの頻度でクリーニングすればいいの?

白濁した作動油の写真

ここまでいくつかの作動油クリーニング事例をご紹介してきましたが、「結局、どれくらいの頻度でクリーニングすればいいの?」というシンプルな疑問を抱いた方もいるでしょう。

作動油クリーニングの頻度については理想と現実があります。

理想から申し上げると作動油クリーニングの頻度は1年に1回です。油圧機械の故障の原因の70%は作動油の汚染にあると言われているので、メーカーは約2,000時間、または2年ごとの作動油交換を推奨しています。

弊社サービスは、オイル検査も行うので、健康診断の感覚で、毎年、オイルの状態確認をしてもらいたいところです。金額設定もそれなりに安くしているのは、その理由です。

なぜなら、保管状態やイタズラも含めて、ピカピカの新車でも、どのタイミングで水が混入するか分からないからです。

ただし、注意したいのは、メーカーが推奨しているのが“クリーニング”ではなく“交換”ということ。例えクリーニングで不純物除去、粘度の回復を行っても、オイルが新品になるわけではないので定期的に“交換”は必要ということです。クレーン車の稼働時間と作動油の劣化度合いなどからクリーニングにするか交換にするか判断するとよいでしょう。

……と、ここまでは理想の話。

では、実際のところクレーン車を保有している皆さんは、どれくらいの頻度で作動油クリーニングまたは交換をしているのでしょうか。おそらくは、4~5年に1回といったところではないでしょうか。

というのも、作動油の状態はよほど意識の高い人でない限り、日頃あまり気にされないというのが現実です。古くなっていたり、作動油漏れなどで量が減っていたりすればオペレーションに不具合が生じますが、多少の劣化や白濁くらいではいつも通りにクレーン車は動くので、作動油についてはついつい何年もそのままになってしまうのです。

また、作動油漏れなどによってタンク内の作動油の量が減った際に、継ぎ足しによって対処する人もいますが、継ぎ足したところでタンク内のゴミが外に出て行くわけではないので、作動油の汚染度が改善されることはありません。継ぎ足しはあくまで応急処置であって根本的な解決にはならないので、クリーニングや交換とは全く別物と考えるべきです。

このように、理想と現実の間には乖離がありますが、ここはぜひ理想に近づけて1年に1回のクリーニングをおすすめします。

何度も言いますが、クレーン車の不具合や故障はある日突然やってきます。古くなった作動油に含まれるゴミが回ってバルブが詰まってしまったり、油圧装置が動かなくなってしまったりすると、修理だけでも2週間程度かかるので代車を手配しなければならず、修理代も高額になります。

故障の代償は大きいので、日頃から作動油の状態を気にすることがいかに大切かわかっていただけたかと思います。

作動油の濾過クリーニングはぜひ一度ご相談を!



(東京のクレーン会社「丸良興業さま」での事例)

ここまでで、私尾形が作動油のクリーニングを強くすすめる理由をご理解いただけたかと思います。ご紹介した事例の中に、作動油が白濁していたケースがいくつかありましたが、この白濁というのは絶対に放置してはならない危険な症状の一つでもあります。

白濁の原因は、言うまでもなく作動油に水が混じってしまったことです。そして、水というのはご存知のようにサビを発生させます。作動油に混じってしまった水によりタンク内やシリンダーにサビが発生すると、それらが鉄粉となって油圧装置を傷つけてしまったり、タンクのパッキンを痛めつけ油漏れが発生したりします。過去のお客様でそのようなケースがありましたが、その時の修理代はなんと400~500万円にも上りました。

私は、建機業界の大切な仲間がこのような無駄な出費をしなくても済むように、作動油クリーニングの必要性をこれからも伝え続けたいと思います。そうはいっても、ついつい後回しにしてしまう気持ちもわかります。もし、作動油クリーニングを依頼することを躊躇しているのであれば、一度劣化具合を調べる検査だけでもしてみてはいかがでしょうか。

現在お使いの作動油を小瓶1本分程度、弊社宛てに送っていただければ、劣化度合いを調べて最適なご提案をいたします。

作動油に関する疑問や困りごとがありましたら、ぜひお気軽にお尋ねください。そして、大切なクレーン車などの重機を守るために、ぜひ弊社の作動油クリーニングサービスをご活用ください!

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