作動油漏れはなぜ起こる?放置することの危険性と正しい対処法、日ごろから防ぐ方法などをお伝えします!

クレーン・レッカーのメンテナンスを全国対応で行っている建機サービスです。今回は少しばかり耳の痛いお話しをさせていただきます。それはズバリ、クレーン車の「作動油漏れ」についてです。

作動油漏れはクレーンオペレーターであれば、誰もが一度や二度経験をしたことがあるかもしれません。

そしてそれが少しの漏れであれば、見て見ぬフリをしてやり過ごしていることもあるのではないでしょうか。

しかし、作動油漏れを放置しておくことは、やがて不具合や故障に繋がることもあるため非常に危険です。

さらに、出費を惜しんで修理や点検に出すことを怠っていると、後々もっとコストがかさんでしまう可能性もあります。

そこで今回は、作動油漏れを発見したときの対処方法や、作動油漏れを防ぐために普段からできることなどをお伝えします。

▽作動油漏れたら怖い理由▽

作動油漏れを防ぐ為、建機サービスが提供できること
なぜ作動油漏れするの?

なぜ作動油漏れするの?

作動油漏れの原因についてお話しする前に、少しだけクレーン車のメカニズムについておさらいします。

クレーン車の駆動方式は、ほとんどが「油圧式」となっています。クレーン車の中には油圧装置が搭載されていて、装置内のタンクの中に作動油が入っているということです。

話は戻り、なぜ作動油漏れするのか。

それには大きく3つの原因があります。

【原因1】摩擦粉(鉄粉)によるパッキン(シール)の劣化

作動油漏れ クレーン メンテナンス 摩擦粉(鉄粉)によるパッキン(シール)の劣化

一番の原因はタンクの蓋と本体の間にあるパッキンやシールなどゴム状のパーツが劣化することです。

これらのパーツは消耗品なのでメーカーは定期的な交換を推奨していますが、言われた通りにまめに換えられるほど簡単な話ではありません。

もし修理工場に出したとしたら一週間くらいはかかってしまうので、その間クレーン車は稼働できなくなり、会社としては損失になってしまいます。

よって、現実としては推奨されている期間を過ぎても使い続けることが一般的で、「油が漏れてきたら交換しよう」と考えるオペレーターもいるほどです。

次に、摩耗粉が原因ということもあります。

クレーン車を使い続けるとクレーン内部の部位同士が擦れて摩耗粉が発生します。

この摩耗粉がタンクのパッキンやシールを削り、作動油漏れを起こすこともあります。

【原因2】温度差によるパッキンの劣化

作動油漏れ クレーン メンテナンス 温度差によるパッキンの劣化

そして寒暖差も原因になります。

油圧装置はクレーンが動いているときは40℃〜50℃にまで上がっていますが、停止したときは気温と同じ温度になります。

つまり、寒冷地や冬場などになると稼動時と停止時の温度差が50℃以上になり、この温度差にゴムの収縮が対応しきれずパッキンやシールに隙間ができてしまい、そこから作動油漏れが起きるのです。

対策としては、倉庫や車庫などに入れて外気の影響を少なくすることもできますが、場所や設備の関係でなかなかそうもいかないのが現状でしょう。

【原因3】水分や塩分による錆の発生

作動油漏れ クレーン メンテナンス 水分や塩分による錆の発生

他には、クレーン車を駐車場に駐車しているときのブームの角度も原因になることがあります。

クレーン車は駐車場に帰ってくると場所を取らないようにブームを上にあげることが一般的ですが、このことによりシリンダーが上を向いてしまうので、雨や雪が車体に入りやすくなってしまいます。

雨や雪は水分なので油分よりも物質に浸透しやすく、クレーン車内部の細かいところにまで水分が入ってきてサビを起こしてしまうということもあります。

このサビはタンクを劣化させ、腐食した部分から作動油が漏れることがあります。

また、寒冷地の道路に撒かれている塩化カルシウムの塩分が車体に付着して配管を腐食していき、内部に錆が発生することも原因になり得ます。

いずれにしても、作動油の漏れは少しずつ進行するものなので、症状が悪化しないうちに何らかの対処をするとよいでしょう。

作動油漏れを防ぐ為、建機サービスが提供できること
作動油漏れするとどんな危険がある?

作動油漏れするとどんな危険がある

作動油漏れは物理的な危険性もありますが、社会的な危険性もあります。

それはつまり、信用を失うということです。

もし現場で作動油漏れを起こしてしまったら、元請けから厳しく怒られます。

というのも、作動油漏れはクレーン車の整備不良から起こることであり、クレーン会社の怠慢とみなされるからです。

また、クレーン車が本来の性能を発揮しないことへの懸念と、クレーン車の不具合によって万が一事故を起こす可能性も踏まえて「出ていけ!」となる場合もあります。

物理的な危険性としては、水や摩耗粉がクレーン車内部に入ってしまうことです。

そもそも作動油漏れを起こしているということは、タンクに隙間ができているということですが、そこから雨水や雪が混入するか、あるいは温度変化によって内部結露などを起こす
などして、作動油に水分が混入してしまいます。

水分が混入すると作動油の劣化速度が早くなり、パフォーマンスに影響するどころか、最悪の場合「動かなくなる」という危険性もあるほどです。

一方、摩耗粉はクレーン内部の部材同士がぶつかり合ったり擦れたりすることによって発生しますが、それらが作動油の中に混じっているとバルブやモーターが削られて作動油が漏れてしまいます。

特に注意したいのは、バルブやモーターに摩耗粉である鉄粉が混入しているケースです。

鉄粉が混入してバルブやモーターが回っているのであれば、鉄粉がヤスリのようになって内部を削っていることになります。

このようになってしまうと作動油漏れどころかブームが伸びない、アウトリガーが縮まない、最悪の場合では油圧が送れないなどの顕著な不具合が起きてきます。

ここまでいくとほぼ買い換えになるので、会社としては大きな損失となってしまうでしょう。

作動油漏れを防ぐ為、建機サービスが提供できること
作動油漏れした時の対処法は?

作動油漏れした時の対処法は

実際のところ、作動油漏れを発見したからといって、毎日仕事がある中で、すぐに対処するのは簡単なことではありません。だましだまし乗っているという人が多いのが現状です。
しかし、これでは何の解決にもなりません。

パッキンやシールの劣化で作動油漏れを発見したら、それを交換することになります。

パッキンやシール自体は数万円ですが、交換のために油圧装置をバラすのが大変手間になる作業です。

修理工場で、バラして交換して組み立てるだけで一週間くらいかかるので、閑散期を狙って交換に出す人が大半です。

しかし、漏れに気付きながらクレーン車を稼働させることは大きなリスクとなる為、大切なのは普段から定期的なメンテナンスを行い、作動油漏れを未然に防ぐことだと考えています。

作動油漏れを防ぐ為、建機サービスが提供できること
作動油漏れを普段から防ぐ方法はある?

動油漏れを普段から防ぐ方法

作動油漏れを防ぐために普段からできることはいくつかあります。

まず、野ざらしをやめること。

いきなり車庫や倉庫を作ることは不可能なので、せめて内部に水が入らないようにシートを被せたり、シリンダーが上を向かないようにしたりして水の侵入を防ぐことができます。

また、融雪剤である塩化カルシウムが付着した場合は、錆にならないうちにすぐに除去・清掃することです。

洗車に持って行って下部洗浄することや、付着する前にカー用品店で下回りの防腐剤スプレーを噴霧しておく方法もあります。

そして、一番効果的なのは作動油の定期的な交換です。

一番効果的なのは作動油の定期的な交換

これまでもお伝えしてきたように、作動油の中に水や鉄粉が入ることによって内部に錆が発生したり削られたりして、劣化したところから作動油が漏れます。

それならば、作動油をきれいにして水や鉄粉のない状態にすれば、内部を劣化させることもないので、作動油漏れを起こすこともありません。

しかし、クレーン業界では周知の事実ですが、作動油は高価なものです。いくら定期的な交換が推奨されているからといって、メーカーが推奨する周期で毎回交換することは会社にとって大きなコストがかかります。

そこで、作動油のクリーニングという選択肢を加えてみるのはどうでしょうか。

作動油のクリーニングであれば、作動油を交換するよりも大幅に価格を抑えることができますし、クリーニングにかかる時間も3時間ほどなので、営業に支障をきたしません。

作動油のクリーニングは私たち建機サービスの得意とすることなので、次項で詳しくご紹介しますね!

作動油のクリーニングは私たち建機サービスの得意とすること

作動油漏れを防ぐ為、建機サービスが提供できること
建機サービスが提供できること

建機サービスが提供できること

作動油漏れを防ぐには、日ごろからクレーン車の状態を常に気にかけ、メンテナンスを怠らないことです。

毎日使っていれば、少しの不具合でも「あれ、何か違うな」と気付くはずです。

そのような少しの違和感を見逃さず、クレーン車内部の状態までしっかりと把握しておくことで、作動油漏れになる前の兆候をキャッチし、初期症状のうちに対処することができます。

また、作動油の定期的な点検もクレーン車の状態を知る一つのバロメーターになります。

作動油は「油圧式」で動くほとんどのクレーン車にとって血液のようなものであり、作動油の良し悪しがクレーン車のパフォーマンスに大きく影響を与えることから、劣化度合いを調べることによってクレーン車の状態がわかります。

私たちは作動油の劣化度合いを以下の観点から調べます。

私たちは作動油の劣化度合いを以下の観点から調べます

・ゴミの量
・動粘度
・添加剤の含有量 
・水の含有量

下回り確認、ブーム伸縮、走行チェックは、今後レポートします。

そして、調査の結果、作動油の劣化がクリーニングで復元できるようであれば、クリーニングの提案をさせていただいています。

私たちが作動油の交換ではなくクリーニングを提唱する理由は、作動油のクリーニングが交換するのと遜色ないくらいの品質を保証できる上に、交換するよりも大幅に費用を抑えることができることです。

作動油クリーニングの費用は1台3万円〜(※出張費別)、時間にして2〜3時間となっています。

作動油クリーニングの費用は1台3万円

作動油の劣化は不具合や故障に繋がる可能性があるので、定期的なクリーニングによって故障率を低減させ、機会損失のリスクを回避することが大事です。
私たち建機サービスは限られた資源の再利用、そしてクレーンや重機のオペレーターが、毎日安心して快適に仕事ができる環境づくりに貢献いたします。

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