これが作動油クリーニングの効果! 作動油のクリーニング事業を通して分かったことを皆様にご紹介します!
当社は、クレーンを始めその他建機の買取り販売を中心に、アフターメンテナンスにも力を入れている会社です。
日々、建設現場で活躍する建機が、良いコンディションで稼働させられるように、作動油やエレメントのメンテナンスを中心に、建設業を担う皆様の資産機の価値の維持とコスト抑制に貢献しています。
建設業界においても、SDGs(Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)という言葉が浸透してきています。
環境への配慮をし、限りある資源を大切にする企業であることが、対外的にも求められる昨今、当社もその理念のもとに事業を展開しております。
日本における人口の減少と、反比例して高まる世界中の人口増加の傾向。
今後、各国で資源の争奪が始まりかねない世界の情勢からみても、海外からの輸入に頼る原油(作動油)を出来るだけ効率良く活用する必要性がますます高まっています。
高度経済成長期から50年ほど経過し、老朽化したインフラのリニューアル工事が各地で行われており、一方で就労人口の減少により、少ない労力で高い品質レベルの作業を求められています。
当社の提供する価値は、まさにこういった日本がおかれている現状に真っ向から向き合うものなのです。
今回は当社、株式会社建機サービスの代表である尾形の「作動油の定期検診」という新サービスにかける想いから、なぜ作動油にも定期的なメンテナンスや検査が必要なのかについて、お客様の声や研究機関に依頼した検査結果も踏まえてお伝えいたします。
日常的にクレーンを利用されるクレーンオペレーターや管理される経営者の方、その他重機を保有されていて、長くその重機を使いたいとお考えの皆さまは必見です!
作動油の濾過(ろか)クリーニングを開始しました!
2021年の12月より、当社では従来のクレーンレンタルやメンテナンスの知見を活用し、作動油の濾過(オイルクリーニング)のサービスを開始いたしました。
この半年の間に、累計で100台以上の、クレーンやその他重機の作動油のクリーニングを手掛けてきました。
当社としては新規のサービスとなるため、まだまだ実績を積み重ねていくフェーズです。
しかし、お客様の大切な資産機を扱うという重大な責任を負うことになるので、科学的な裏付けを基に取り組みたいと考えました。
そこで、一般社団法人潤滑油協会(JALOS:Japan Lubricating Oil Society)と呼ばれる、経済産業省認可の潤滑油に関する試験研究や、潤滑技術の普及、技術者研修などをおこなっている協会に賛助会員として入会し、研鑽(けんさん)を重ねて参りました。
お客さまの「作動油の濾過って何をしているのか」「定期的な検査は本当に必要なのか」といった疑問を解消できなければ、作動油の定期検査の必要性を感じて頂くことはできないと思います。
作動油の品質ひとつをとっても、非常に奥深く、学べば学ぶほど、作動油は人間の血液と同じで、機械の健康状態を表すバロメータにもなり、オイルの品質管理の重要性を感じています。
作動油の品質を表す指標について
稼働時間や保管場所やオイルエレメントを定期的に交換しているかによって、作動油の状態が大きく変わります。
当社の作動油クリーニングは、新油を生成するわけでは無く、あくまで現在お使いの
作動油を出来るだけ長持ちさせるための手段にすぎません。
作動油は、すべてを新油に交換しようとすると、大変なコストがかかります。
当社の作動油クリーニングは、交換と比べると安価にオイル品質を改善できるので、企業の費用抑制にも貢献します。
また、作動油クリーナーを持参して、お客様の置き場で作業ができるので、お客様の時間を無駄にしない(指定場所まで車を持ち込んでもらう必要が無い)のも、本サービスの大きな強みです。
ところで、お客様からはよく、どの程度キレイになったのか?とのご質問を頂きます。
普段から目にしているものではないので、どのような改善がされたのか、説明を聞きたいとおっしゃるのです。
たしかに、病院などでも、治療により患部がどのように改善したのかを画像を見せながら説明をされた方が、納得感も強く、安心できますよね。
そこで当社でも、パーティクルカウンター(particle counter)と呼ばれる、作動油の中に含まれる様々なゴミをどの程度除去したのかを検査するキットをご用意し、数値で測れるようにしています。
作動油が古くなる!と言われた際の物差しとして以下の点が挙げられます。
・ゴミの量
・動粘度
・添加剤の含有量
・水の含有量
当社では、上記項目を研究機関に調査依頼を行い、作動油のクリーニングがどれくらい効果的なのか、どうすれば品質を維持できるのか、調べています。
一度も交換していない!?〇〇年ものの作動油を検査してみました! 動粘度編
新車で購入してから一度も交換したことが無い!という車のクリーニング依頼が
稀にあります。
交換されず使われた期間は、それぞれ「2年」「4年」「15年」。そして最も古いものは、なんと「20年」という、非常に長きにわたり利用されたものです。
私どもとしては、そのようなヴィンテージ物の作動油は大変貴重な研究対象であるため、社長様に頼み込んで200mlほど分けて頂き、分析センターに検査の依頼をし、動粘度や残っている添加剤の量、そしてパーティクルカウンターでそれぞれの作動油に含まれる汚れ(微粒子)がどの程度含まれているのか、検査を実施いたしました。
動粘度は、その名の通り作動油の粘り気の強さです。
そして、100℃と40℃の2つの温度帯が調査の目安とされます。
作業中は常に作動油ポンプが動き、機械の発する熱により、温度の変化にもかなり大きな幅があります。
温度が高ければ、それだけ分子の動きが活発となり、動粘度は同じ作動油でも下がることになります。今回は、日常的な利用を考え、40℃の条件で検査をおこないました。
新油で動粘度が46mm2/s(=センチストークス)あるのに対し、2年落ちの場合、調べた結果は45mm2/sでした。
ただし、検査の結果には5%前後の誤差が発生することを織り込んで考えると、2年間利用をした場合には、保管状況や稼働状況などにもよりますが、今回サンプリングしたオイルに限っては、年数が経っても粘度は極端に落ちてはいないと考えられます。
4年落ちの作動油の粘度を調べると、46.5mm2/s
15年落ちの作動油は44.7mm2/s
20年落ちの作動油は42mm2/s
やはり、2年落ちと4年落ちは新油と比べてさほど変わらない結果が出ました。
また、15年ほど経った車でも、粘度が落ちていない作動油が稀にあります。そこの社長に日頃のメンテナンス方法を伺ったところ、実際には全く交換をしていなかったわけではなく、油漏れは発生していたので、その都度新しい作動油を継ぎ足していたとのこと。
長期間にわたり、まるで「老舗の秘伝のタレ」のように、継ぎ足し継ぎ足しを繰り返し、いい感じの状態を保っていたそうです。
作動油の品質を安定させたり、粘度を生み出す添加剤は、時の経過とともに「無くなる」のではなく、正確には「機能しなくなる」のです。そのため、今回のケースのように少しずつ新たな作業油の継ぎ足しをおこなうことで、結果的に粘度を保つことが出来ているということは、我々にとっても新たな発見でした。ただし、後述しますが、継ぎ足しでは作動油の中に発生する水の除去はできないため、長いスパンで見れば、少しずつ劣化していきます。
作動油の天敵!水の発生には要注意
作動油に含有してしまった水は、作動油の品質を下げる最大の敵です。
鋼材で組み上がったポンプ、配管、バルブに水分が触れることで錆(さび)が発生し、その錆が大きな抵抗となって摩耗が加速され、鉄粉が発生し、各所の詰まりによる不具合やオイルシールからの油漏れの原因となります。
潤滑性が低下し、油温が上がりやすくなり、日々の作業にも支障が出てきます。
作動油が入っているタンクの中には、空気が存在します。
ブームを延ばす際などにも、タンク内に空気が入ります。
空気中には、水蒸気が含まれており、この含有量が水の正体です。季節により差はありますが、「空気が入る=水が入る」と考えなくてはなりません。
寒暖差により、容器に含まれる空気が暖められたり、冷やされたりすることで水蒸気の凝縮が起こり、水が発生します。
季節の変化に関わらず、昼夜の空気の温度差でも水は発生するのです。
水は他にも、雨などの天候の影響でタンク内に侵入したりします。
タンクがキャップで簡単に開けられることから、もしかしたらイタズラで水を入れられてしまうという可能性もゼロではありません。
作動油の状況を確認するためのゲージは存在しますが、そちらを見たからといって、知識の無い一般的の方が作動油の状況を確認するのは困難です。
そういったことから、定期的な検査は大切です。
ちなみに、作動油の中でも特に状態が悪いものになると、白濁して透明性が失われ、飲み物のシェイクのような見た目になってしまっているものがあります。
作動油が白濁している状態になっているものには、かなりの量の水が入り込んでいると推測されます。経験上、一見透明に見える作動油でも、水分が含まれていると思われる作動油を数多く見てきました。
こうなると、すでに相当錆が進行しているため、作動油自体のクリーニングをしたところでほぼ手遅れの状態だと思われます。
以前、このような白濁した状態の作動油を、新油に交換せずにクリーニングされることを選ばれたお客さまがいらっしゃいました。
新油への交換は、クリーニングと比較するとコストがかかるためです。
ところが、後日当社にそのお客様から電話が掛かってきました。
それは、「せっかく水を抜いて、白濁は無くなったが、結局はギアが壊れてしまい、結果的に費用が随分掛かってしまった」という連絡だったのです。
このような事例が実際にあることからも、やはり、白濁をしてしまうほど水が入り込んでしまった作動油は、錆がかなり進行している状態だと推測できます。
そして、最も大切なことは、作動油が白濁し、交換をせざるを得ないような状況になる前に、作動油の劣化に気付くことです。
ゲージからは、ある程度作動油の状態をうかがうことはできますが、日常的に作動油にどのくらいの水やゴミが混ざっているかを把握することは現実的に困難です。
たとえば、定期点検をおこなう時期を一年に一回と定めるようにして、定期検査自体を仕組み化することで、作動油の状況を確実に確認するようにされるとよいでしょう。
作動油の品質安定に必須の添加剤
作動油には様々な添加剤が含まれており、その種類に応じて、作動油の粘度を維持したり、品質の安定に寄与しています。
一例を挙げると、作動油自体を腐らなくさせる防腐剤や、錆(=水や酸素との酸化還元反応)を発生しづらくさせるような添加剤が含まれています。
「食品の添加剤」と聞くと、体に悪いといったマイナスな印象を持たれる方もいらっしゃいますが、作動油にとっては、むしろこの添加剤がどの程度残留しているのかは非常に重要となります。
新油が長期間利用され、添加剤の効果が弱まってしまうとコンタミ(Contamination:汚染、異物が混入したものを指す)と呼ばれるネチネチとした状態になります。
コンタミは、もともと作動油のみで構成されていた分子に、さまざまな異物が結合した状態となっているため、その大きさも分子レベルで大きく膨れ上がってしまっています。
こういったコンタミは、たとえばバルブに詰まるゴミとして機械の正常な動作を阻害する要因となってしまうのです。
添加剤には、新油の分子のまわりを覆うようにコーティングし、それ以上、余分な分子と結合することを防ぐ効果を持つものがあります。
このことで、コンタミの発生を抑制し、機械が正常に動作するのを助ける役割を果たします。
添加剤は、タンクの中から消えるわけではありませんが、一度、コーティングすることでその役目を終えてしまいます。
そのため、決して万能なわけではなく、作動油内のゴミ自体を減らすことや、定期的に新しい作動油を継ぎ足す、あるいは交換をするなどの対応は不可欠になります。
言い換えれば、作動油の濾過などを行うことで、作動油内に含まれる添加剤の消耗自体を防ぎ、長持ちをさせることも可能なのです。
そんな添加剤の中でも、特に重要な役割を果たすのはリン(化学記号:P)で、作動油にどれだけリンが残っているのかという点が、作動油の品質に大きな影響を与えるということが分かってきました。
リンは、作動油が高温になるポンプ内で焼き付けを起こすことを防いだり、ギア同士の摩耗を予防する潤滑油としての働きをし、余分な高熱が発生することを防ぐ効果がある成分です。
総じて作動油の品質のみならず、ギア全体の長期利用に非常に重要な役割を果たしています。
以上のように、リンは作動油の品質を維持するのに一役買っている非常に重要な成分です。そのため、作動油の劣化状況を調べる際には、作動油の中にどれくらいの量のリンが残っているのかをベンチマークのひとつとします。
一度も交換していない!?〇〇年ものの作動油を検査してみました! 添加剤編
先述したとおり、非常に重要な添加剤であるリン。
先ほども登場した新車購入から一度も交換していない作動油について、時間経過によりリンの含有量にどの程度の変化が見られるのかも調べました。
新油に含まれるリンの量は、600ppm(パーツ・パー・ミリオン=百万分率)ほどと言われています。
2年落ちは、618ppm。
4~5年落ちは、536ppm
15年落ちは401ppm
気になる20年落ちのものでは、486ppm
という検査結果になりました。
先ほども述べたように、全く同じ条件・品質のものを比べたわけではありませんので、逆転現象が起きてしまっているのはやむを得ない結果です。
しかし、20年落ちの作動油となると、さすがにリンの含有量が100ppmを切るのではないかと予想しておりましたが、実際には比較的高い数値が見られました。
これも、あくまで作動油の継ぎ足しや多少のメンテナンスをおこなっていた結果であると考えられ、普通に考えると、リンの含有量も時の経過と比例して減少していくことは間違いありません。
リンの含有量が低い作動油を使い続けた結果起こりうるのは、大切なギアを破壊してしまうような、致命的な不具合です。定期的な検査により、作動油に含まれるリンの含有量が、一定以上含まれる状態を保つことを心がけた方がよいでしょう。
定期的にエレメントを交換している場合は、作動油も長持ちしている傾向があります。
しかし、そのエレメントの網目の密度次第で、取り逃してしまうゴミも多くあります。
当社では微細な粒子も通さない、網目が非常に小さいエレメントを利用して作動油内のゴミをこし取っています。
ところで、作動油がクリーニングだけでは品質が改善されないと判断した場合には、新油への交換がおこなわれますが、タンク内を洗浄し、作動油のクリーニングが完了しても、シリンダー内部にクリーニング前の作動油や、汚れや錆などが残ってしまっており、その汚れが戻り、結局汚染されてしまうといったことが発生しがちです。
当社ではそのようなことが起きないよう、ある程度のクリーニングをおこなった後、一度その作動油を循環させ、シリンダー内部の汚れをその作動油で洗い流してから、改めてきれいにした作動油を入れるようにします。
こうすれば、汚れが循環し続けることを防げるのです。
「お客様に二度と後悔させない」尾形が誓った新サービスへの思い
このオイルクリーニングの事業を社内で立ち上げたきっかけは、自らの失敗がありました。
以前、中古の100t以上の大型オルタークレーンを販売しました。
品質も確認済みだったはずのそのオルタークレーンは、3年間使われたものでした。
ところが、購入されてわずか1年後に、シリンダーからの油漏れが発生してしまったのです。
当時は「なぜそのようなことが起きてしまったのだろう」と首を傾げるばかりでした。
原因は、作動油に混ざった水。
水によりタンク内やシリンダー内部に錆が発生・進行しており、それらが鉄粉となってパッキンを痛めつけ、油漏れが発生していたのでした。
お客様が負担したのは、修理代400~500万円。
新車からわずか4年しか経っていないのに、まさかこのような事態になるなどと、当時は考えられないことでした。
そして、なぜそのようなことが起きたのか調べたことが、オイルクリーニングについて学ぶきっかけとなりました。
「自分からクレーンを買ってくれたお客様には、二度とそのようなことを起こさない」
そう心に決めて、オイルクリーニング事業を立ち上げる決意をしたのです。
毎年、作動油の定期検診をおこなう、または勧めること。
そして、中古のクレーンなどの重機を販売する場合には、必ず作動油の確認をおこない、クリーニングをしてから引き渡すことにしました。
大切なクレーンなどの重機を長持ちさせたいとお考えのオーナー様は、ぜひ当社の作動油クリーニングサービスをご活用ください!
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